人生相談にドキリ。
おひさしぶりです。
ゆうじです。以前の記事で、ロサンゼルスの図書館の電子化が進んでいて、オンラインで動画視聴もできてしまうという話をお伝しました。→電子図書館がすごい
その後、ロサンゼルスの図書館はPressReaderという新聞、雑誌閲覧のためのサービス/アプリとも提携していることを知り、よく使っています。非常に多くの言語に対応していて、日本語での32種類もの出版物をカバー。もちろん、完全無料。
DIMEとかノンノとかキャンキャンとかサライとか幅広いジャンルの雑誌があるのですが、私がよく読んでいるのは、ここで唯一読める全国紙である「毎日新聞」。
余談ながら、年末にThinkpadのX1 YOGAというノートパソコンだけど、タブレットとしても使えるPCをゲットし、大変重宝していますが、これなら新聞電子版のページめくりや字の拡大も快適です。
(Microsoft のSurface Book2とどちらにするか、半年以上悩みぬいて選びましたが、結果大満足!)
そうして毎日新聞を眺めていたある日、ふと目にした記事にドキリとしたことがあったので、紹介させてください。
それは2月25日付の人生相談。このコーナーは複数の回答者が交代で担当していますが、この日は作家の高橋源一郎氏。質問文を毎日新聞のサイトから引用します。
私はいつも人を信じて、裏切られます。例えば「この曲はすてきだから聴いてね」と言い、相手は「うん、聴くね」と答えたのに、聴いていませんでした。(中略)「暖かくなったら会おうね」と言われて1年たっても誘いはきません。私はまともに待っています。待っている間、地獄のようにつらいです。(60歳・女性)
これに対して、高橋氏の回答は、こんな言葉で始まります。
あなたは「人を信じて裏切られる」とおっしゃいます。いえ、逆です。
曰く、相談者はそもそも、裏切られるというに値する深い人間関係を築けていないと指摘します。おばちゃんの愚痴みたいな質問に、こんなにアグレッシブな回答して、大丈夫なのか、と心配になりますが、高橋氏の追及は一層激しくなります。
あなたは冷たく、わがままで、あなたの国にはあなたしか住んでいません。他の人間は、みんな、あなたのために存在する奴隷なのですね。そんな人間を、だれが「信じ」ようとするでしょうか。あなたが心を閉ざしているから、人々は、あなたの傍らをただとおりすぎてゆくのです。
ここまでいうか?と思ってしまいますが、高橋氏自身「きつい言葉かもしれません」と認めています。しかし、このあとの意外な展開が待っています。
ある時、わたしは、あなたと同じように(中略)自分の国の独裁者であることに(中略)気づきました。以来、わたしは、そんな、冷たい自分と戦っています。
そう、これは高橋氏自身の自己認識でもあったのです。
そして、自分を変えることはむつかしいけれど、通り過ぎようとする人に、やさしい言葉をかけることはできるはず、それがすべての始まりだ、という内容の、それこそ優しい言葉で、回答は結ばれています。
この相談、私の心にもぐさっと刺さりました。私自身も、振り返れば、自分からは大して何もしないのに、人に期待ばかりして、期待が外れては人のせいにしていて、まさに自分だけの国の「独裁者」ではないか、と反省させられたのです。
高橋氏も、相談者だけでなく、読者全体に向けてこのメッセージを書いたに違いありません。人生相談という形をとった人生論になっているわけです。どこで検索しても話題になっていないようですが、これは秀逸だと思います。
普段ニュースは、Yahoo Japanなど大手検索サイトでよく見ていますが、芸能人のどうでもいいブログが記事になっていて、辟易していますが、新聞は書き手がプロであり、且つ編集というフィルターを通っているわけで、やはりクオリティーが高く、安心して読めます。
それがLAで無料で読めるのは、ありがたい限りです。
LA市民限定ですが、ご利用はこちらから。Los Angeles Public Libraryの図書カードが必要ですが、無くてもオンラインですぐにE-Cardをつくれます。
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